IR

IR情報

IR情報
気候変動への取組み - TCFDへの対応 気候変動への取組み - TCFDへの対応

気候変動への取組み - TCFDへ
の対応

TCFD提言に基づく情報開示

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、2015年に金融安定理事会(FSB)がG20の要請を受けて設置した、気候関連の情報開示及び金融機関の対応検討のための情報開示基準です。TCFD提言では、気候変動へのガバナンス体制や、複数の気候関連シナリオに基づく「シナリオ分析」の実施および、分析を元に特定した気候変動に起因する事業リスクおよび機会の開示などが求められています。

当社グループはTCFDの提言に賛同するとともに、気候変動関連リスクおよび機会が当社グループの事業に及ぼす影響の把握および分析を行い、気候関連の適切な情報開示を行ってまいります。

要求項目

ポピンズグループが気候変動に取り組む理由

地球温暖化による気候変動は、私たちの生活や自然の生態系にさまざまな影響を与えています。

IPCC(※1)第5次評価報告書では、このまま有効な温暖化対策を講じなかった場合、20世紀末頃(1986年~2005年)と比較し、21世紀末(2081年~2100年)には世界の平均気温は、2.6~4.8℃上昇(赤色の帯)、厳しい温暖化対策をとった場合でも0.3~1.7℃上昇(青色の帯)する可能性が高いとされています。

今後、気温上昇による台風や洪水・高潮などの異常気象が激甚化し、人々の安心した暮らしを脅かすことで結果的に更なる出生率の低下や、人口の減少に繋がると当社は考えています。

世界平均地上気温の変化

世界平均地上気温の変化

出典:図. IPCC AR5 SYR SPM Fig. SPM.6
*図中吹き出しは当社にて原図に追加

気温上昇を抑制するためには、環境に優しい技術の開発とそれを実現するためのSTEM分野(※2)での女性参画が欠かせません。
また、SDGs目標13-3でも記載がある通り、教育を通じた次世代を担う子どもたちへの持続可能な優しい社会を目指した人間形成も重要であると考えます。

目標:13-3
目標:13-3

気候変動の緩和、適応、影響軽減、および早期警告に関する教育、啓発、人的能力および制度機能を改善する

当社グループは「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」というミッションの下、祖業であるベビーシッターサービスを起点に、SDGs教育も行う認可・認証・事業所内保育所や学童保育、インターナショナルスクール運営等のナーサリーサービスや、高齢者在宅ケアを行うシルバーケアサービス、共働きや高齢者、単身世帯など様々なライフスタイルを支える家事支援サービス、そして保育士や介護士等の研修サービス等を展開し、フルラインでの働く女性を支援するサービスを提供してまいりました。

当社グループは未来を創り、グローバルに羽ばたくお子様や、日本の礎を築き走り抜けた方々、そして、働く女性の皆様が健やかに生活できる世界を維持するために気候変動に対しても何が出来るのかを考え、その抑制に寄与してまいります。

※1 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change) … 国連気候変動に関する政府間パネル。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的としている
※2 STEM分野 … Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4つの教育分野の総称。環境にやさしい技術の進展にはこれらの分野の発展が重要とされているが、女性の参画が少なく、ジェンダーギャップ(男女格差)が指摘されている。

ガバナンス

当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ課題について、全社横断的な対応を推進するため、経営企画担当取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。サステナビリティ委員会は原則年に3~4回開催され、サステナビリティ課題に対する基本方針や重要事項について審議・検討を行います。
また、審議された内容は原則年に1回取締役会へ報告し、事業活動や財務に重大な影響を与えると判断された事項については、取締役会にて、その対応方針や施策を審議・決議いたします。
また、当社グループは「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」を設置しており、『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指し、誰もが自分らしく活躍できる組織の実現に取り組んでおります。
今後は「サステナビリティ委員会」と「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」が連携しながら、社会の変化に対応した持続的な企業価値の向上を実現してまいります。

ポピンズのサステナビリティ推進体制

取締役会

取締役会にて決議された気候変動に関する事案例

  • TCFDの最終報告書の趣旨に対する賛同
  • TCFD提言に沿った情報開示
  • サステナビリティ委員会の設置
  • 温室効果ガス削減目標(Scope1,2)の決定

戦略

TCFD提言では、気候変動に起因する事業への影響を考察する為、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループでも不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うために分析を実施いたしました。
また、自社への影響のみならず、ターゲットとする「働く女性」にどのような影響が起こるのかまで包括的に考察を行うことで、気候変動によって起こる「働く女性」への影響に対して、当社グループがどのように対応・寄与していくのかを考え、下記のようにシナリオ分析を実施しております。

今回のシナリオ分析では、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」と、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。なお、当社のカーボンニュートラルの目標達成年度である2050年に加え、SDGsの目標である2030年時点における影響を分析しております。

  • 1.5℃シナリオ

    脱炭素社会への移行に伴うリスク:大 異常気象などの物理的なリスク:小

    2100年時において、産業革命時期比で1.5℃未満の平均気温上昇が想定されるシナリオ。
    カーボンニュートラル実現を目指し、気候変動課題を抑制するために現状以上の厳しい政策・法規制が敷かれる。

    【参考シナリオ】 IEA Net Zero Emissions by 2050、IEA Sustainable Development Scenario、IPCC RCP2.6

  • 4℃シナリオ

    脱炭素社会への移行に伴うリスク:小 異常気象などの物理的なリスク:大

    2100年時において、産業革命時期比で3.2℃~5.4℃(約4℃)の平均気温上昇が想定されるシナリオ。
    気候変動課題を軽減するための積極的な政策・法規制等は敷かれず、異常気象の激甚化が顕著に表れる。

    【参考シナリオ】IEA Stated Policies Scenario、IPCC RCP8.5

シナリオ分析

シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオと4℃シナリオの両シナリオにおいて、異常気象の激甚化による自社事業活動拠点への被害が大きなリスクであると想定されました。ただし、当社グループでは従来よりハザードマップを参考にし、物理的な被害が抑えられるような事業所作りを進めていたため、想定される被害についても最小限に留められており、自社の経営に大きな影響を与えるものではないと判断いたしました。今後もBCPを意識した事業所設営を進めるとともに、環境に配慮した設備や部材を用いた環境にやさしい事業所作りを行ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、「働く女性」の働き方や就業形態に変化が起こることが想定されました。
当社は「働く女性」の活躍を支援するためのサービスを手厚く展開しており、社会貢献性の向上とともに収益機会の増加が見込めました。
今後も当社グループは事業活動を通じて気候変動抑制に寄与するとともに、『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指してまいります。

特定した主なリスク・機会とその対応

特定した主なリスク・機会とその対応
  • 評価基準 - 想定される発生時期

    記載項目 項目の定義
    長期 11年~30年後に発生が想定されるもの
    中期 4年~10年後に発生が想定されるもの
    短期 0年~3年後に発生が想定されるもの
  • 評価基準 - 財務影響評価

    記載項目 項目の定義
    1億円超の影響が想定されるもの 1億円超の影響が想定されるもの
    1000万円以上~1億円未満の影響が想定されるもの 1000万円以上~1億円未満の影響が想定されるもの
    1000万円未満の影響が想定されるもの 1000万円未満の影響が想定されるもの
    機会機会 リスクリスク リスク機会の両面リスク機会の両面
  • 主なリスクにより想定される当社への財務的インパクト(2050年時点)

    1.5℃シナリオ
    4℃シナリオ

    ※定量分析したリスク項目を図示化

気候変動に対する当社グループの具体的な取り組み

  • 環境に配慮した事業所作り

    環境に配慮した事業所作り 「ポピンズナーサリースクール軽井沢風越」

    鉄骨造りと比較し、温室効果ガスが排出抑制されるという環境面に配慮した木造建築を採用しています。冬は氷点下まで気温が下がる長野県軽井沢という立地ですが、大きな窓を随所に配し、日中は陽の光がふんだんに入ることで冬でも暖房を使わずに過ごせるほど保温性に優れた設計となっております。

  • 「子どものためのSDGs」教育

    「子どものためのSDGs」教育

    ハーバード大学教育大学院プロジェクト・ゼロとの共同研究と連携した「子どものためのSDGs」教育を通じ、未来を担う子どもたちの気候変動や環境問題に関する意識を高め、社会課題の解決につながるイノベーションを起こせる人材を輩出します。

その他取り組み

保育所において、新設園ではLED照明を設置し、既存園では修繕計画に沿って順次切り替えを行っております。空調の高効率化、二重サッシや断熱材の利用による節電や、節水型トイレの採用も進めています。

従業員の通勤については、自動車・バイク通勤は地方で公共交通機関が利用できない場合に限定して認め、該当者を把握しております。

気候変動による災害の激甚化を想定し、被災時の避難場所などとして地域住民にも開放できるよう、自治体との連携・協議を進めてまいります。

リスクに対する管理

当社グループでは、気候変動関連リスクについて「サステナビリティ委員会」にて管理を行います。
サステナビリティ委員会では、各グループ会社から気候変動関連リスクを抽出し、発生可能性や財務的影響の大小から定性・定量の両面で評価を行います。さらに、当社では新たな取り組みに伴い発生するリスクや重大な外部環境の変化などのリスクを、「重要リスク」として設定しています。「重要リスク」であると判別されたものについては、取締役会にてその対応方針や施策を審議・決定することといたします。
また、その他リスクもしくは、短期的かつ緊急対応を要する事項(気候変動関連リスクを含む)に関しては、「危機管理委員会」にてその対応を審議し、関連部署への指示を行います。
気候変動関連リスクに関して緊急性を要したために、危機管理委員会で指示された対応については、その対応の進捗や、当社方針に沿った指示が適切に行われたのか等、サステナビリティ委員会で定期的なモニタリングを行います。
サステナビリティ委員会および危機管理委員会にて、識別・評価されたリスクについては、原則年に1回、取締役会に報告を行うことで全社的なリスクマネジメントとしております。

リスクマネジメント体制

取締役会

指標と目標

当社は、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を採用しております。
持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略および施策の検討を行ってまいります。

当社事業活動におけるGHG排出量

当社事業活動におけるGHG排出量
  • 2030年

    2021年比
    50%削減 (延べ床面積m2あたり)

  • 2050年

    カーボンニュートラル
    (実質ゼロ) の実現

算定対象:グループ会社含むオフィスおよび事業所 ※テナント入居している拠点を除く
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

上に戻る